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<<   作成日時 : 2012/07/10 01:10   >>

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 今日の天気は晴れ。
 何故かチームの方から結婚祝いの祝電が届いたのですが、何を勘違いしたのでしょうか……
 けれど、結婚と聞くとあの日の事を思い出します。
 家を出た、一年前のあの日の事を……



―――――――――――――――――――――
 


「お呼びですか?お父様。」

 とある豪邸、一家の主のための執務室。
 成金趣味とまではいかないまでもけばけばしいその内装は、実の娘である彼女にとっていつ来ても慣れない場所だ。

――どうしてこんなにキラキラした装飾品を飾ってるのかしら?
  仕事の事を考えるにしても、もう少し落ち着いた内装の方が効率が上がると思うのだけれど――

 けれど娘は父にそんな事を言っても無駄だと解っているので、決して考えたことを口にする事は無い。
 彼女の思っている事は母も思っている事で、母親が父親を説得しようとして無駄に終ってる姿を幼い頃から何度も見ているからだ。
 しかし、家族をないがしろにして仕事…というか金儲けに精を出していた父が、自分に一体何の用だろう?
 首を傾げると、母譲りの緑の長髪がサラリと揺れた。
 
「来たかリリスアーゼ、これを見ろ」

 椅子の背もたれに体を預け娘に背を向けていた父親が振り返り、机の上のホログラムのスイッチを入れる。
 浮かび上がるのは年の頃は30歳以上のヒューマンの男性。
 着ているスーツは金色、いたるところに品の無いアクセサリー、成金趣味もここまで来ると清々しい。
 
「見ましたが、コレが何か?」

 嫌な予感がする、が表情には出さない。
 それはまだ予想であって現実ではないから。

「お前ももう17歳だ、結婚してもおかしくない歳だろう。
 我が家の為にもこの男と結婚しろ。」

「はいお父様、お断りします。」

「そうかそうか、おことわ……なにぃ!?」

 想像通りの父の命令を、娘ことリリスアーゼ=シャロットは花が綻ぶような笑顔でバッサリと切り捨てた。   
 まさかおとなしい娘が反抗するとは思わなかったのだろう。
 父親は怒りに顔を赤く染め、何も言えず陸に上がった魚のように口を開けている。
 リリスアーゼは胸元で手を組み、父親を諭すように語りかけた。
 
「だってお父様、我が家の為にも何も会社は順風満帆業績が低下したと言う話しは無し。
 跡継ぎ候補も弟がいるから何の問題も無し。
 これ以上も無いほど恵まれているのに、一体何の問題があるんですか?
 逆にこれ以上のお金儲けを望んだら、どこかで躓いてしまう可能性の方が高くなるんじゃないでしょうか?」

 リリスアーゼとしては正論を言ったつもりだったのだが、火に油を注いでしまったらしい。
 父は真っ赤になったまま立ち上がると、キョトンとする彼女へ怒声を浴びせる。

「煩い!娘のクセに親に逆らうのかっ。
 いいからお前は大人しくこの男と結婚すればいいんだ、コレは命令だ!」

「命令も何も私はお父様の部下になった事は一度もありませんよ。
 それに子供が親の命令を聞かなければならないと言う法律は無いでしょう?
 あと、言わせていただきますとこんな品位の欠片も無い方と結婚しても幸せになれるとは思いません。」

 父の怒りも子供が駄々を捏ねていると思えば恐くは無い。
 むしろこれが日常茶飯事なので彼女は慣れた様子で、更に自分の意見を主張する。
 結婚は自分にとって一大事だ、親だろうと誰だろうと勝手に相手を決められるのは冗談じゃない。
 しかし、彼女の父親は違ったようだ。
 
「ええいっそれでも俺の娘か!?命令が聞けないのなら今すぐこの家から出て行けっ勘当だ!」

 ダンッと机を勢い良く机を叩く。
 そう言えば娘は泣きながら大人しく言う事を聞くだろう、父親はそう思った。
 が、現実は違った。

「解りました、けれど荷物を纏めなければならないので若干の猶予を頂けませんか?
 通っていた学校に退学届けは……あぁ、お父様がしてくれるんですね、ありがとうございます。
 それでは、話が纏まった所で失礼させていただきます。」

 家を勘当する、その言葉に娘は泣くどころか嬉しそうに笑いながら話を進めていく。
 これは何らかの裏があるのではないだろうか?自分は娘に嵌められたのか?父親に猜疑心が生まれる。
 のんびりとした足取りで部屋を出て行こうとする娘に、父は慌てて声をかけた。
 
「待て!この家から出て行って何かあてでもあるのか!?」
 
「えぇ私、アークスになります。」

 ピクニックに行きますわ、とでも言うようにサラリと自然に切り返す娘の言葉の意味を理解するのに父親の脳は数十秒の時間を要した。
 理解できていないだろう父親の為に、リリスアーゼは優しく説明してやる。

「以前、お忍びで街に下りた時お祭りか何か催し物をやっていまして、その時無料でフォトン適正診断を受けてみたんです。
 そうしたら見事に合格してアークスにならないかとスカウトされたんですが、家の事もありますし考えますとお断りしたんです。
 でもこんな時に役に立つなんて、人生ってどう転がるかわかりませんね。」

 ふふふと笑う娘に、父親は予想すらしなかった展開に呆然としている。
 我に返られたら面倒と思い、リリスアーゼはそのまま執務室を後にした。
 急いで部屋に戻り荷物を纏めて家を出なければあの父親の事だ、今度は軟禁状態にするに違いない。
 決して走らず急ぎ足で、長い廊下を突き進む。
 自室のドアを開けて真っ先に探すのは、旅行用のカバン。
 荷物は少ない方がいい、そう思いトランクケースには数日分の着替えと彼女の感覚での一月分の生活資金。
 それとお気に入りの小さなウサギのぬいぐるみを詰めて、部屋を出る。
 ドアを開けるとそこには、一つ下の彼女の自慢の弟が心配そうな顔で立っていた。

「姉さんが父さんと喧嘩したと聞いて来てみたんだけど、その荷物は……?」

 不安げな弟の様子を見て、心配かけさせないよう微笑み自分より背の高い弟の頭を撫でてやる。
 弟の髪も彼女と同じ母譲りの緑の髪、本当に父親に似なくてよかったと心からそう思う。
    
「ちょっとお仕事に行くことになったんです、貴方は元気でね お母様をよろしく頼みますよ。
 あと、お父様にあまり似ないようにっ。」

 最後の言葉は冗談交じりにクスリと笑いながら付け足す。
 姉の言葉と表情に今までの喧嘩とは違う只ならぬ雰囲気を感じ取り、弟は狼狽する。
 家を出たらもう二度と、優しい姉と会えなくなるのでは無いかと心が警鐘を鳴らす。
 
「姉さんっ、父さんは俺が何とかするから家出なんて無謀な事止めろよ。」

 両手を広げ、姉の道を塞ごうとする弟。
 その姿に少し後ろ髪を引かれるが、一度決めた事は覆したくない。
 それに弟は勘違いをしている、その間違いも正さなければ。

「あのね、これは家出じゃなくてお父様に勘当されたんです。だから、何を言ってももう無駄なんですよ。
 それにこれは、傷つく人を癒したいっていう私の夢を叶えるチャンスでもあるんです。
 だからそんなに心配しないで、ここを通してください。」

「姉さん……」

 姉は微笑んでいたけれど、その瞳は笑っていなかった。
 初めて見る強い眼差しに、弟は道を譲る事しか出来ない。

「姉さん、何かあったら必ず助けるから。だから、たまには連絡くれよ?」
 
 弟の言葉にようやくニコリと笑みを浮かべ、荷物を手にリリスアーゼは玄関へ向かう。
 まだ父親は放心状態なのかそれとも本当に家から出すつもりなのか、大きな荷物を持って外に出ようとしても警備員も誰も何一つ聞かない。
 
「……あ、いけない。アークスになるのってどこへ行けばいいんでしょう。」

 玄関のドアを開け彼女はそのことに気づき呆然と立ち尽くす。
 ここから門まで、結構な距離があることも忘れていた。
 結局使用人に声をかけ、何とか無事アークスの本部へとたどり着く事が出来た。
 
――ここから私の本当の人生が始まるんですね。
 
“大丈夫、今日がダメでも明日は必ずいい日だから”

 母の口癖を思い出し、自然と笑みを浮かべてしまう頬を叩いて表情を引き締める。
 そして、自分自身の道を切り開く為、透明な自動ドアの向こう側へと歩みだした。
  
  

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